第13回 一紅会主催  「春の講演会」 

 言葉の魔力に見せられて
 
  〜伝える楽しみ・伝わる喜び
        豊なコミュニケーションのために〜



       日 時:平成22年3月6日(土)13:00”
       場 所:アルカディア市ヶ谷


               株式会社山梨放送
               アナウンス部長
               浅川 初美

1.声は変わる
  《 女性アナウンサーの声がテノールに 》
   女性の社会進出とともに、女性アナウンサーの仕事の幅も広がってきました。
   たとえば、ニュース番組では、高い明るい声よりも、落ち着いた低い声がも
   とめられます。女性アナウンサーの声が低くなってきました。

  《 自分の声は好きですか? 》
   「声は人なり」とか。自分の声に自信をもちたいものです。
   声はとても正直なもの。残念ながら、ごまかしは利きません。

  《 発音の要は母音 》
   聞き取りやすい日本語を発音するのは、そう難しいことではありません。大
   切なのは「母音」です。日本語は必ず「母音」で終わります。その「母音」の
   発音が正確かどうかがポイントです。私たちは、外国語の発音は勉強しますが、
   日本語の発音を勉強する機会はほとんどありません。そのため、日本語の発音
   特に「母音」の発音は、とても暖味なものとなっています。

   ☆練習してみましょう!
   ア ー→ エ → イ → ウ → オ
   この順番で声を出すと、口の動きが自然で無理のないものになります。
   ア:口を縦に大きく開ける
   エ:口の開きを小さく
   イ:口の開きはさらに小さく、唇の形を左右に平たく
   ウ:口の開き(アゴの位置)は「イ」と同じ、唇の形はやや丸く
   オ:口の開きは「エ」と同じ、唇の形はさらに丸く

2.青葉は変わる
   《 何と読みますか? 》
   ・早急(さっきゆう・そうきゆう)
    * 音声(長音・促音)の語感を大切にしたいものです。
   ・他人事(ひとごと・たにんごと)
    *「ひとごと」と読んでほしい時には、『人事』と書くとか
   ・国内外(くにないがい・こくないがい)
    *折衷案(?)で「《くにのないがい」と革んでいます。
   《 どこにアクセント? 》
   ・パンツ
   ・彼氏
    * 日本語のアクセントが平板になってきました。
   番外 初美(私の名前です)
    * 名前にも決められたアクセントがあります。
     (例)3拍の名前
     @名前の最後が ミ・エ・ヨ・オ・「吉」・「作」・「七」
                   ↓
                  平板型
     A名前の最後が コ・キ・ト・ゴ・ジ・タ・イチ・へ−・ロー
                   ↓
                  頭高型

   《 濁音と鼻濁音 》
    ことばの最初(語頭)のガギグゲゴは濁音で発音します。これに対して、助
   詞の「が」や、語中・語尾のガギグゲゴは鼻濁音で発音します。
   鼻濁音は、伝統的な日本語の発音ですが、九州・中国・中京・上越などでは
   もともと鼻濁音は使っていませんし、東京でも数十年前から鼻濁音がほとんど
   聞かれなくなってきています。特に、若いひとたちの間で鼻濁音は減ってきま
   した。しかし、鼻濁音の持っているまろやかな響きは日本語の美しさのひとつ
   でもあります。大切にしたいものです。

3.アナウンサーの仕事は「聞く」こと
   《 言葉のキャッチ・ボール 》
    言葉という「ボール」を投げ(話す)、受ける(聞く)ことがコミュニケーシ
   ョンの基本です。投げては受け、受けては投げる。話したら聞く、聞いたら話
   す。このくりかえしです。一方的に話す人は「おしゃべり」で、「話し上手」と
   はいえません。

   《 態度は目に入る言葉である 》
     「態度」は声にならない言葉です。
    ァメリカの社会心理学者 アルバート・メラビアンによると、
    コミュニケーションを成り立たせているのは … 表情・態度 55%
                                  言葉・音声 45%
   どんな態度・表情で話しているのか、聞いているのか、話し手も聞き手もそ
   こをキャッチしたいものです。

   《 「って!」を使って聞き上手に 》
    聞き手は、積極的、能動的に聞きましょう。心を動かしながら、相手の話に
   興味をもって聞きましょう。感じたことを態度に表す事も大切です。話し手が
   話しやすくなります。相づちをうつのも効果的。
   相づちは9種類(確認・同意・同情・感心・喜び・驚き・催促・疑問・反対)
   もあります。甲州弁の「って」はすばらしい!相づちの万能選手です。

4.言葉の変化には、少しのブレーキを
   以前は辞書にものっていなかった言葉の意味や用法も、多くの人々が使うよ
  うになると、やがて辞書にも採用され、許容されることになります。誤用→慣
  用→容認という変化です。今、この変化がとても早くなっていると感じます。
  変化のスピードに対し、意識的に少しブレーキをかけてもいいのかも知れません。

                                           以上
発音練習

ア行
青い家 相生 葵瓜 野葵 家英 青嵐 老鴬 絵扇
絵団扇 威勢のいい医者 上野から魚河岸まで 絵姿になる江差追分
蝦夷で暮らすも一生江戸で暮らすも一生 縁は異なもの 恩愛の縁
老いては負うた子に教えられ 鵜が鮎を追いあう

力行
貨客船の旅客 中小商工業振興会議 乗客の訓練 栗の木の切り口
規格価格か駆引価格か 危険区域 区画計画 第五交響曲に観客驚愕

ガ行
山羊 兎 葱 雅楽「青海波」 義歯 義眼 義手 義足
生米生麦生卵 赤巻紙黄巻紙長巻紙 呉越同舟とは言語道断 家具
夜具  身ぐるみ  荷車

サ行
新設診察室視察 佐賀の佐々木三郎 最新式写真撮影法 佐山の佐々佐吉
生産者の申請書審査 行政監察査察使 親切な先生 背の低い生徒
粗品粗酒粗食 瀕死の使者 消息筋の推察 必死の疾走 左社総評
右社の主義思想

ザ行
肘 匙 地面 座頭のざんげ 座右の銘 前述の事情 漸次増税
前夜の風 自費自弁 自業自得 頭脳明晰 絶体絶命

タ行
竹垣に竹立てかける 暖かくなる高曇りの天気 地質学的知識の塵
狐 鶴 燕 国鉄 鉄橋 転撤手 不特定投資匿名組合取り締まり

ダ行
道路 道具 大学代表者 第一回議題 電報打電 電話連絡
鼓と小鼓を一包みにして小包で出した

ナ行
親に似ぬ子は鬼子 練絹に平絹 西隣の庭 殿様の長袴若殿様の小長袴

ハ行
是々非々主義 候補者放送 東北地方の特派員 広島の紐で火鉢を縛る
羊皮紙の表紙の批評集 不幸な夫婦は古い服

バ行
豆ブギ歌手  赤かび病  病気伝染病予防

マ行
右の耳から耳輪を三つ 赤巻紙長巻紙 無理に結んだ結び目六つ
目医者  名刺屋  名士に面識

ヤ行
闇の山 夜半の宿 湯屋の中  ゆず湯の夢 八日の夜の夜回り
夜通しよろよろ

ラ行
ラクダのシャツ 暖房  ラジオの団欒 利口  理非理不尽無理
アンリ・ルネ・ルノルマンの流浪者の群 五郎が五両十郎が十両
治療中の旅客  最良の料理

ワ行
我が国の俵 私の瓦 私は罠にかかった鰐